お知らせ

「没年調査ソンin京都 Vol.5」報告

2024.07.22

【概要】

「ししょまろはん10周年記念」と銘打って、これまでよりちょっと「チャレンジ」して開催した、「没年調査ソン in京都 Vol.5」。

2024年3月17日(日)、年度末という忙しい人も多い時期でしたが、ししょまろはん主催の没年調査ソンを京都府立図書館2階のナレッジベースで開催しました。
コロナ禍で中断していた対面・集合での形式の開催は、実に約4年ぶり。
とはいえ、コロナ禍ではリモート・オンラインで開催していたのを全部なくしてしまうのではなく、オンラインも併用しつつ…いわゆる「ハイブリッド」での開催としました。

準備が進む会場のようす

ハイブリッド化も含め、これまでと異なった点はこちら。
 ◎対面とオンライン、いわゆる「ハイブリッド」での開催
 ◎午前から開催(イントロダクションを午前中に)し、調査時間枠を拡大
 …これまで約2時間だったのを3時間に拡大(まだまだ足りない?)
 ◎新聞データベース利用アカウントの増設対応
 …朝日新聞クロスサーチ、ヨミダス歴史館を50ユーザずつ使えるように準備。
 ◎ランチタイム(お弁当)と懇親会(打ち上げ)の開催
 …親睦の場を設ける。おいしいごはんで盛り上がろう!

当日のタイムテーブル。
 11:00〜 イントロダクション
 12:00〜 昼食・館内見学(希望者のみ)
 13:00〜 没年調査
 16:00〜 成果発表
 16:30 閉会

お昼には館内見学も

参加者は、会場が7名(+ししょまろはん)、オンライン3名、リモート(神奈川)会場1件で、約15名となりました。
オンラインでは、遠くは北海道から参加の方がおられました。遠方からナイスソン!
また神奈川では、リモート会場として数名のグループで参加してくださいました。

神奈川会場の様子。奥のモニターに京都会場が。

さくさくと見つける人、じっくり粘って調べる人、会話の中から調査のヒントを得る人……いろんな人がおられました。
当日約3時間の調査タイム、そして追加調査したい方のためにアディショナルタイムを1週間ほど設けました。
そうやって判明したのが、
 生年のみが16件
 没年あるいは生年と没年の判明が88件
 何より(存命)が16件

なんとなんと、合計120件(生没年判明は104件)分を国会図書館関西館(著作権処理係)に報告しました!
この件数はまごうことなき過去最多のナイスソン!です。

そしてその後、国会図書館から「各種データベースに反映されました」とお知らせを受けました。
計12件の資料を保護期間満了としてインターネット公開することができたとお知らせいただきました。
すばらしいすばらしい!!
なお、一部は、資料が不十分であったり、同姓同名の別人だったりして認定されなかったものもありますが、それは今後に情報を引き継いで、またがんばることとします。

最後は「没年調査ソンのワルツ」を聞きながら…

参加者の方からの感想(抜粋)

・時間が経つのがあっという間で、楽しかったです!

・肩書が「京都」だけですと、同姓同名の別人かもしれないケースが何度かありました。もう少し同一人物かどうかの判断材料があれば…と思いました。

・さすがに京都その他の会場まで行くのは大変ですので、オンラインで参加できてとても嬉しかったです。次回もオンライン参加させていただけますと嬉しく存じます。

・オープニングトークや最後の成果報告で他の方の調査手法を知ることができ、大変参考になりました。
また今回は「ナイスソン!」を言う側しか経験できませんでしたが、次参加した時には言われる側になりたい、というモチベーションになりました。

・レクチャーにお招きくださりありがとうございました! 一日中楽しかったです。念願の「まろー棒」も(無理矢理)使えました。
ただいつもながら、気付けば調査に没頭してしまい、LINEどころか会場にいる人にも「ナイスソン!」と声かけ忘れそうになるのは反省です…。
また次に開催される折にお声がけ頂けますと幸いです。それまで「ししょまろはん愛」が枯渇しないよう頑張ります。

德田先生のお話(オンライン画面)

【参加ししょまろはんメンバーのレポート・感想】


うめまろ(京都府立図書館勤務/初参加)

やる前に受けた説明では難しそうに感じましたが、当日やってみると少しずつ分かっていく感じがして楽しかった。また、もっと難しいものだと思っていたけれど、周りの人がすごいペースでどんどん確定させていくのですごかった。
会場の雰囲気が良く、あったかかった。大学のサークルみたいな雰囲気に感じました(大学行ったことないけど)。
結局一人も没年確定できなかったけど、調べ方などとても勉強になりました。この先レファレンスを受けた時に役立ついい経験だったと思います。
ししょまろはんではない方とも交流できてよかったです。こういうイベントに参加しない限り交流する機会はないなと感じました。
次は一人だけでも没年判明させます!!!

会場風景。判明したら壁面ホワイトボードに記入。


きよまろ(京都府立図書館勤務/ししょまろはん代表)

久しぶりの対面・集合開催であり、ここ数回のオンライン開催の流れを活かしつつのハイブリッド開催となった没年調査ソン。ししょまろはんからの参加メンバーも、対面開催のころ参加した人は少なく、何度もやっているのに試行錯誤でした。

そして今回は、代表の私が直前に新型コロナに罹ってしまい(幸いにも軽症で済みましたが)、ご参加の皆さんや準備をするししょまろはんメンバーに、多大なご迷惑をおかけしました。
ただ、リモートの準備もしていましたし、通信については充実している時代です。いざとなったら、私もリモート参加かな、家からじゃなくて図書館内の別室でリモートだったら何かあった時にこっそり対応しつつ参加できるかな…なんて考えながら、メールやLINE等のハイテクツール(←という言い方が昭和)を駆使して、連絡や準備を進めてました。そして、開催日の2日前には無事に外出(出勤)もできるようになりました。

当日は、久しぶりの対面開催の熱気や盛り上がりを感じられたのが嬉しかったです。はじめましての方も、ご無沙汰してますの方も、直接顔を見ながら、お話しや相談しながら調査できるのって何か違う感じがしました。
一方で、この数年やってきたオンライン・リモート開催で、参加へのハードルは下がり、調査の技術は上がったように思います。今回は、遠くは北海道から参加がありました。オンラインならではですね。

調査そのものは、新聞DBのアカウント増やしたことの効果が見られた気がしました。別室まで行って検索しなくていいのは段違いに使いやすく、「自分のPCで、新聞DBが検索できる!すごい!」なんて話してました。
国会図書館サーチ(NDLサーチ)リニューアルも、効果を実感できました。デジコレの全文検索は言わずもがなですばらしいですし、いろんな「とりあえず◯◯」のバリエーションが増えました。
「とりあえずググる、とりあえずデジコレる(デジコる?)、とりあえず(NDL)サーチ、とりあえず新聞DB…」
と検索すると、案外さらっと判明したり、ヒントが掴めたりしました。

嬉しかったのは、何回か前のソンで調べて見つからなかった人物が、今回わりとあっさり見つかったこと。
長らく同じリストを使ってると、もう調査できなくなるのでは…見つからないのでは…という話をしていたのですが、全くの杞憂でした。
テクノロジーの進化もありますが、「もしかして、私、検索上達してる?」とうぬぼれそうになります。これまで数回の没年調査ソンが、実際のレファレンス・検索能力に役立ってるのだと信じたいです。
また、ほかの参加者のフォローをすることで、成果を増やせたのもありました。ただ、アディショナルタイムでそれをやったのが多かったので、次回は、開催時間内にもフォロー・サポートできるようになれたらいいかな、と思いました。

とにかく、楽しく開催できたのが何よりです。
なお惜しむらくは、お昼もみんなとは離れた席でぼっち飯で、自分で手配したのに打ち上げにも参加できなかったことです。次は、打ち上げでおもいっきり「ナイスソン!」したいです! 乾杯の掛け声も「ナイスソン!」ですよ〜。

送られてきた打ち上げの写真

はらまろ(京都府立図書館勤務/没年調査ソン長)

没年調査ソン@京都府立図書館はオンライン&リモートも含めると8回目となります。
今回は久しぶりにリアル会場を設定した上で、オンライン参加も可能なハイブリッド開催です。
スケジュールも11時開始からのお昼を挟んで16時半に終了という、調査時間を長く設定した形になりました。調査終了時に聞こえてくる「もう少し時間があれば…」との参加者の方(私も含め)のご要望にお応えした試みです。

開会冒頭の没年調査の説明では、今年は国立国会図書館関西館の佐藤さんが会場にいらして、お話ししてくださいました。
没年調査の意義・手順等の解説に加えて、国立国会図書館で働いておられる方ならではのお仕事のお話も色々お聞きすることもでき、大変興味深く拝聴しました。
続いて当没年調査にはなくてはならない德田先生による、没年調査の検索テクニックについてのお話です。
今回は没年調査の対象が「図書館関係者」から「京都にゆかりのある人」に戻りましたので、オンライン参加の方でも有効な人物調査の検索方法を具体的に説明頂きました。後半ではもちろんししょーとまろーとぎんなん坊やの魅力を語っていただきます。
その後、きよまろはんから没年調査ソンの具体的な進め方や掛け声「ナイスソン」「なによりー」の説明を受けて、開会行事は終了です。時間はそろそろお昼にかかりますので、昼食を取っても良し、早く調査を始めたい方は早速調査ソンに取り掛かります。
(私はもちろんおいしいお弁当を先にいただきます)

ランチ風景

しっかり腹ごしらえをして、いよいよ没年調査を開始です。
今回の調査対象は「京都にゆかりのある人」ですので、調査対象も非常に広範囲にわたります。私はこのテーマでの調査は初体験で、初めてお名前を目にする方も多く、人物情報を見ながらどの方にするかで、まず時間がかかります。
ようやく調べる人物を決めても、今度はどんなツールを使って調べるかで悩みます。
今回は新聞データベースのアクセス数を本イベント限定で増やして頂いていますので、そちらでの検索もしてみたい。でもせっかく集めた参考資料も見てみたい。
いつも通り図書館の参考図書類をまず調べてみました。が、これがなかなかヒットしません。大学の先生を調べようと、大学の職員録や学史に関する本を当たりましたが、通覧しても収録範囲が広く、見つけ出すのは困難でした。その後紙資料を当たるもなかなか有効な情報が出てきません。

紙の資料も会場に用意

後ろ髪をひかれますが、オンラインツールに切り替えます。
以前図書館の企画展示に「民藝の父 柳宗悦」を選んだこともあり、民藝運動に関わった「西邨辰三郎」を調べることにしました。
リニューアルしたNDLサーチで検索すると、デジタルコレクションで参加館公開になっている雑誌「民藝 1998/12月号(552)」に、柳宗悦の子息で工業デザイナーの柳宗理による「西邨辰三郎を偲ぶ」という記事がヒットしました。この当時、民藝館の館長を務めていた関係で柳氏が寄稿されたよう。
残念ながら現物は府立図書館には所蔵がありませんので、デジタルコレクションで確認したところ、西邨辰三郎が亡くなった日にち等も記載されていました。ここで「ナイスソン」の掛け声をようやく上げました。

その後もオンラインを中心に調査しましたが、生没年を判明することができたのは、西邨辰三郎氏お一人でした。でも民藝運動に関わった人物を調査し、没年も判明することができましたので、充実感のある一日でした。

今回の没年調査ソンでは会場参加の方、オンライン参加の方もたくさん生没年を判明されていました。今までにない判明数ではないでしょうか。
その後の国立国会図書館での確認を経て、デジタルコレクションでの参加館/個人送信公開がネット公開に切り替えられたものもありました。
先人の著作物を後世の人々が利活用するために欠かせない没年調査、今回もその意義が体感できた調査ソンでした。

次回の没年調査ソンは2024年の8月です、みなさまこぞってご参加ください!