お知らせ
没年調査ソン2021 オンライン&リモートVol.2 報告
2022.02.28
2021年11月6日、没年調査ソン オンライン&リモートVol.2を開催しました。今回で、ししょまろはん主催としては6回め、オンライン&リモートは2回めの没年調査ソンとなりました。
まだまだ新型コロナに対する不安が残るため、どこかの会場に集合しての没年調査ソンではなく、ZoomとGoogleスプレッドシートと主にオンラインツールを活用して、オンラインでの開催としました。
前回のようなサテライト会場は設定せず(できず)、ほぼ皆さん個人参加で、リモート会場(2,3人程度)が少し…でした。
参加は約20名(講師さん・ししょまろはんスタッフ含む、葉っぱ除く、途中退出あり)でした。ししょまろはん本部は4人(+葉っぱ2名)でディスタンス取りながら参加でした。
これまでにどこか(京都・福井・神奈川など)で参加したことある方もいれば、オンラインだし…ということでお試し参加された方もおられました(気軽な参加、大歓迎です)。
参加者の皆さんと直接お会いできないのは残念ですが、距離や移動時間を気にしなくていいのはオンラインイベントの強みでもあります。今回なんと、遠くはチューリッヒ(!!!)から参加された方もおられ、没年調査ソンが世界に開かれた歴史的な日となりました。
前半は、イントロダクション。
まずは、「没年調査ソンってなに?」といった内容や、調査の進め方についてししょまろはんからお話。
没年調査ソンの考案者からの話も。
そして、国立国会図書館の元著作権係として没年調査をされていた佐藤久美子さんに「没年を調べよう!」というリモート講義をしていただきました。
国立国会図書館での没年調査がどのように行われているか、どのような資料を使って調査するか、など、毎回ためになるお話を聞かせていただいています。
また、「ししょーとまろーのファンで、そこそこ情報検索に詳しい人」である德田恵里さんにもお話いただきました。すでに何度か没年調査ソンに参加されている方ならではの、没年調査ソンの面白さや、情報検索・没年調査のコツ、そしてししょーとまろーへの愛が熱く語られました。
イントロダクションでは最後に、皆さんにリラックスしてもらいつつ、オンラインでの声出しやチャットの練習を兼ねて、「コール&レスポンス」をやってみました。
「どこから参加してますか?」の質問に対して、ずら〜っと遠方の地名が並ぶさまは、感動的でもありました。
「今のお気持ちは?」
少し緊張がほぐれてきたところで、「ナイスソン!」のかけ声を合図に、調査スタート!
さてここで、参加したししょまろはんメンバーの感想・レポートを紹介します。
【レポート その1】
初めて没年調査ソンに参加しました!
今回初めて没年調査ソンに参加しました。
まず印象的だったのは、参加者が公共図書館の職員のみではなく、研究機関の関係者、会社員など所属の枠を越えて集まった点です。中には海外から参加された方もおり、この活動が根強く続いてきたことの表れのように思います。
実際に調査を進めてみて、調査そのものよりも、調査対象を選定する方がより難しく、運と力量が問われるようでした。今回私は主にオンラインデータベースやインターネット検索を使用しましたが、使用ツールの幅を広げることでヒントを得られたケースもあり、複数の手掛かりが次第に繋がる過程はとても達成感がありました。
最後の調査報告会で皆さんのお話を伺えたことも大きかったです。ベテラン司書の方々の発想や検索方法を垣間見ることができ、大変貴重な時間でした。
誰かが生没年判明の報告をするたびチャット欄に「ナイスソン!」の文字が次々と並ぶ様は面白く、なかなかに壮観でもありました。
ししょまろはんの、“とりあえずやってみよう“精神のお陰で気負うことなく参加できました。大変お世話になりました。
(まろやま)
【レポート その2】
「没年調査ソン オンライン&リモートVol.2」に参加しました!
2021年11月6日に開催された「没年調査ソン オンライン&リモート Vol.2」に参加しました。没年調査ソンはこれまでに京都府立図書館では5回開催され*1、2020年以降はコロナ禍のため、オンライン開催となっています。今回は2回目のオンライン開催でした。
没年調査ソンは資料やデータベースを用いて、著作者の没年を調査するイベントです。著作者の没年と著作権の保護期間を判明させ、国立国会図書館に報告すれば国立国会図書館デジタルコレクションのインターネット公開につながることがあります*2。今回のイベントでは図書館関係者や調査が好きな方が参加していた印象でした。調べる楽しさがあるうえに、調べた結果が社会的に大きな意義を持つので、どの参加者も静かな闘志を燃やしているように感じました。
今回、ししょまろはんメンバーは京都府立図書館から、他の参加者は自宅、勤務先などからのリモート参加でした。図書館にいない参加者からオンライン上で、「この資料を見てみてください!没年情報があるようです!」「新聞データベースを使える人はいますか?」など各自の環境を活用し合いながら調査が進められました。
私の場合は没年が判明していない人をひたすらネットで検索してみるざっくり調査をしました。最終的にはWikipedia記事に没年とその典拠が示されている方がおられたため、没年が判明しました。情報の入口であるWikipedia記事の有効性を改めて感じました。没年調査で没年が判明すればぜひWikipedia記事にも反映させておきたいですね!他の方は各地域の図書館のデータベース、新聞データベース、人名事典類を使うなどして、それぞれに合った方法で調査されていました。
参加してみて、様々な方の調査の流れを知ることができるのが面白いと感じました。今回の調査は資料のインターネット公開という成果につながる可能性もあります。調査においてはこのような成果も大事なことと感じます。また専門図書館等で没年調査ソンを実施するとよりディープな調査ができそうにも思います。どこかで実現してほしい(させたい)ですね。
課題としては、調査のレクチャー、協力体制があると思います。図書館で没年調査を実施すると、図書館資料やデータベースを自由に使うことができ、参加者同士の相談もしやすい環境となります。しかしリモートの場合、図書館員に資料の確認を頼めるとはいえ、資料調査が限られるのも事実です。
今回のイベントでは、調査開始前に没年調査のベテランから調査のアドバイスがありました。今後も調査方法のレクチャー、情報共有がリモートの場合、より必要となってきそうです。
コロナ禍でも調査をより楽しくしていきたいですね、ぜひナイスソン*3を!
*1 福井県立図書館でも開催され、カレントアウエアネス・ポータルに報告があります! 鷲山香織「CA1939-公共図書館の地域資料を活用した没年調査ソンのすすめ~福井県での事例から~」( https://current.ndl.go.jp/ca1939 )
*2 「著作者情報 公開調査」国立国会図書館デジタルコレクション( https://openinq.dl.ndl.go.jp/search )
*3 没年調査ソンの際に生まれた言葉。生没年を判明させた調査者に対して他の調査者がかける言葉。なおリモートではZOOMのチャット欄が「ナイスソン」という言葉で埋められることが多い。
(まろのすけ)
時間内には見つからなかったけど、終わってから気になっていた資料を確認したら見つかった…などのアディショナルタイムの調査による判明が毎回あります。今回、参加者の皆さんと共有していたリスト(スプレッドシート)には、途中までの調査内容も記入してもらうことにしていました。そのおかげで、最後の決め手が見つかり判明したということもありました。
今回の没年調査ソンで、イベント後に追加で判明した分も含めて、没年判明が29名、生年判明が2名、存命中確認が6名という結果となりました。
また、調査結果(生没年や典拠資料)を国立国会図書館の著作権係に送りまして、各データベース等に反映する作業をしていただいたところ、著作権保護期間満了が2名あったとの報告を受けました。素晴らしいです、ナイスソン!
今後の課題もありますが、ちょっとずつ改良していきながら、そして何より楽しみながら、今後も開催できたらと思っております。
この「没年調査ソン」という文化共有のためのワークショップが少しずつ広まっていけばいいなぁとも思っています。
2021年3月4日に国立国会図書館関西館(オンライン)で開催された「デジタルコレクション活用フォーラム」では、「没年調査ソンってどんなイベント? 」「どうやって始まったの?」「 何が楽しいの?」ということから、「みんなやってみよう!」とお誘いする内容のお話をしました。
気軽に参加していい没年調査ソンは、気軽に開催してもいいんです。ぜひスライドをご覧ください。
「ししょまろはん没年調査ソンのとりくみ ―やってみた。やってみよう。―」(PDF)
それでは、またどこかの没年調査ソンで皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。
当日と同じように、「没年調査ソンのワルツ」でお別れとしたいと思います。
皆さん、ナイスソンでした!
(きよまろ)