お知らせ

「没年調査ソンin京都 vol.2」の報告

2017.11.18

9月23日に京都府立図書館2階ナレッジベースにおいて、ししょまろはん主催「没年調査ソンin京都 vol.2」を開催しました。

今回初参加した(といっても、多い人でも2回めですが)ししょまろはんメンバーに、当日のレポートを書いてもらいました。


「没年調査ソンin京都 vol.2」に参加しました!

9月23日に「没年調査ソン in 京都 vol.2」に参加しました。その感想を少し書こうと思います。

まず没年調査ソンの目的を簡単に述べます。国立国会図書館デジタルコレクションで著作物を公開するには著作権の権利処理が必要です。しかし著作者の没年がわからないとインターネット公開が制限されます。もちろん国立国会図書館さんが没年調査を行っていますが、没年がわからない著作者は多いです。そこで公共図書館の資料を使ってそんな状況を少しでも改善しようという熱い思いを持った者たちが集まるイベントがこの「没年調査ソン」です。


講師さんによるレクチャー

さて当日はまず国立国会図書館の佐藤久美子さんから著作権処理の概要、没年調査の方法などを教えてもらいます。普段のレファレンス業務でも生かせそうな内容です。そして参加者の前に現れたのがずらっと並んだ没年が判明していない著作者のリストです。ししょーとまろーが見守る中、調査を開始しました。

応援するまろー

応援するまろー

小声でアドバイスするししょー

小声でアドバイスするししょー

私の場合、いざ調べてみると、没年が全く見つかりません。師範学校の先生の没年を探したのですが、新聞データベース、人名辞典などをみるも見つからない。冒頭に紹介された文化庁の裁定制度に関する紹介動画「~みつからないときの詩~」の歌詞「みーつかーらない、みーつかーらない」が脳内に流れてくる始末。最終的には師範学校の歴史の本に名前を発見したもののわかるのは退職年のみ。うん、おしい。

ほかの方は大学百年史などを使って芋づる式に教授たちの没年を見つけていました。また名前と肩書から新聞に載っていそうな人に当たりをつけて新聞データベースで没年を見つけるという方法が行われていました。見ていて勉強になりました。

黙々と調査、続々と判明

黙々と調査、続々と判明

そうしているうちに2時間の調査は終了。全体で31人も没年が判明し、没年を見つけていない自分も謎の達成感が出てほっこりしました。みんなで調べるってスバラシイ!

没年調査ソンは公開を制限されている資料を没年調査することによって広く社会に資料を発信していく手助けができるイベントです。またみんなで没年調査をすると協力したり、雑談をしたり、いろんな人の調査成果が見えたりとワイワイできて楽しいものです。遠方からの参加も可能で新たな情報が届き興奮が生まれることもあります。公共図書館の資料を通して新たな資料がオープンになるきっかけが生まれる…。そんな場に居合わせるのはめったにない機会です。みなさんもぜひ没年調査ソンでナイスソンを!

・「著作者情報公開調査」
https://openinq.dl.ndl.go.jp/search
・「著作権者不明の場合の裁定制度~みつからないときの詩~」
https://www.youtube.com/watch?v=nROlmoEgEJU

 


今回は、事前に調べてきた参加者(成果ナシになりたくなかった人)や、後で追加調査をした人、東京から遠隔参加した人(ししょまろはんメンバー)もいて、前回以上の盛り上がりとなりました。
その結果、31人(後日1名追加)について著作者の没年が判明しました。

また、その結果を受けて国立国会図書館で作業していただき、追加も含めた32名のうち、21名について、NDLA(:web NDL Authorities=国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)に生没年が登録されました。


・瀬川, 負太郎, 1927-2013
http://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/00069315
出典 人権と部落問題 65 (7) (没年)
編集履歴 没年追加 (20171011)

(その他の11名については、NDLAにはデータが無い著者で、業務用DBに登録となったそうです。)

また、
戸島, 光阿弥, 1882-1956
http://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/00345039
の没年が判明し、著作権保護期間満了が確認できたため、下記資料をインターネット公開することができた、とご報告がありました。
・鯉魚集
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1143308

ナイスソン!(ぜひ何かにご利用ください!)

まろーによるTwitterまとめはこちら。
「没年調査ソンふたたび」
https://togetter.com/li/1172605

そして、この没年調査ソンのことが、京都新聞の凡語欄でもとりあげられました。
「没年調査(凡語)」(『京都新聞』2017年10月16日 朝刊1面)
http://www.kyoto-np.co.jp/info/bongo/20171016_2.html


2回めの没年調査ソン、いかがでしたでしょうか。
次は、あなたもナイスソン!